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2021年7月の記事

2021/07/31

七月逝く

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       狂乱の七月逝きぬモノクロに

 

 

2021/07/29

巣篭り

 

     巣篭りや 汗かかねども 筆止まり

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2021/07/19

内田百閒先生、稲垣足穂君と森を探索した話

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 昨日は今夏一番の猛暑だったとか。
 朝、暑くなりそうだとは思いつつジョギングに出たのは無謀か無知か、いずれ2時間の外遊を無事成し遂げられたのは僥倖というべきかもしれません。

 木陰にゴールインした時にはキャップを被ってはいたものの、脳が頭蓋骨の中で蒸し上がり膨張してとろけかかっていたのか、夢見心地すらしたのはアブナイ兆候であったのかもしれないと昨日の今日、思い返しても定かではない、いや、定かならぬことがそもそもキケンなことであったという気もしないではないのであります。

 携行したアクエリアスを飲み干し、しばし休息すると(いつの間にか午睡に落ちていたようです)、待ち合わせた内田百閒先生、稲垣足穂君と森の探索を始めました。
 夕暮れが近づいていたようです。

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 最近百閒先生のご機嫌が悪い。
 口に出すわけではないし、こちらから伺うものでもないから、心中いかにやあらむと「拝察」するばかりではありますが、私同様、「何もかも」気に入らないのではないかと思えるのです。
 しばしば呼び出される足穂君の話では、やたら不機嫌な様子でむやみに彼に発砲を命じるらしい。
 常日頃足穂君はお尻のポケットにピストルを忍ばせているのですが、ふたりで街を歩いていると、いきなり「撃て」と命令するのだとか。

 足穂君にしてみれば何のことかわからぬが、とにかく先生の指さす方向に向かって(彼には目標が見えないといいます)引き金を引く。すると大きな音をたてて月が地上に落ちてきて砕け散るのだそうです。

 そんなことが最近ことのほか多いのだと足穂君は言うので、私は、
「それって親分に命令されて敵を狙撃する下っ端ヤクザと同じじゃないか」
と非難しました。すると彼はなんら動じる風もなく、
「いや、俺は単に俺の宇宙観に則ってやってるだけっすよ」
と事もなげに応えるのです。

「ねえ、先生」
 先を歩いている先生に私が声を掛けると、もう私の内心を見透かしたかのように、
「うるさい。イヤだからイヤなんだ」
と、どこかで聞いたような返事。

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 私たちはそれから默って歩いていたのですが、先生が突然立ち止り、
「奴らがやって来るのが聞える」
と、髙い樹を振り仰ぎながら言うのです。
 私には何も見えませんが、足穂君はそれが当たり前であるかのように、腰を落として身構え、尻ポケットに手を伸ばします。

「稲垣、見えるか?」
「百閒先生、見えません」
「まだお前の宇宙は見えんのか?」
「見えません」

 私にはふたりの遣り取りが理解できず、やや呆気にとられたのですが、百閒先生は、
「あれ、・・・ あれ、・・・ あれ、・・・ あそこ」
と次々にいろんな方角を指さします。
 足穂少年は四方八方、無茶苦茶に(と私には見えました)、ピストルを撃ちまくります。

 すると木々の枝の間や梢のかなたから次々に月(なんとたくさんの!、それも全然美しくない!)が落ちて来て地上で炸裂し、そのかけらたちはみな、頭に冠のようなものを被って、そこらじゅうに転がるのでした。

「これが奴らの正体だ」
 百閒先生は苦々しくそれらに唾を吐きかけ、足で踏みつぶしにかかりました。
 足穂少年も同じ動作をくりかえします。
「これで世界大運動会だとよ」
 私にはようやく理解されました。

 これら月に姿を変えたものたちこそ、今や世界中に猖獗を極めている厄病神の使徒たち(のごく一部)なのだと。
 そうして、踏みつぶされている化け物たちは足下、冠(コロナ)を被りながら様々な人間の相貌 ―― 慾・権力まみれ、自己中、虚言妄言癖、破廉恥漢 ―― を露わにしているではありませんか。

「不届きな輩どもめ!」
 吐き捨てるような声とともに百閒先生の姿は消えてしまいました。と、同時にゴトンゴトンという汽車が通過する音がリズミカルに響きわたります。

 阿房列車内田百閒と自認するくらい汽車に乗るのが大好きな先生には、時計を見ながらゴトンゴトンという規則的な音を数えることで、乗っている汽車の速度が推測できたといいます。だから私たちには聞えないものまで聞えるのかもしれません。

 それは足穂君も同じようなのか、と思っていたら彼の姿は、 ・・・・・・  いや、消えたのではありません。一人乗りのプロペラ機で森の木々の間を自由放縦に飛び回ると、無限の空へ去って行った、もしかしたらジョナサン・リビングストンになったのかもしれません。

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2021/07/14

「我ら」の誇り 二刀流

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 今 無心で喜べるのは 君のことだけだ 

 君は心底 楽しんでいる

 少年の日の姿そのままに
   ただただ 投げては 打ち 走り 
     それが嬉しくて 楽しくて 仕方がない

 何の意図も 邪念も 打算もない
   
 だから 歴史を変えるような
   素晴らしいことが起こった

 君だからこそ
   君の無垢で 誰からも愛される心根こそが
     奇跡のような事態を実現させた

 君だけのための ルール変更
   何ということだ

 君の自然なふるまい 君の一挙手一投足に
   ぼくは心を揺さぶられ
     憚りもなく
       感涙にむせんでしまう

 君は「我ら」の誇りだ

 「我ら」といってそれは このひとつ国の民ではない
   君を見るすべての人々だ

 国境も 人種も 世代も超えて
   君を見るすべての人々にとって
     君は誇りなのだ

 

 

2021/07/13

睡眠障害

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 途中覚醒が最近多い。
 12時前に就床し、2、3時間で目を覚まし(睡眠薬を服用しているにも関わらず、である)、その後朝までうとうとする。
 こんな日は日中とくにスッキリしない。朝起きたときからぐったりしている。
 それでも仕事が始まると眠気などどこかへ行ってしまっている。が、仕事が終わると急激に眠気に襲われ、仮眠に走る。

 睡眠薬のお世話になってもう随分になる。20年くらいは経つか。少量ではあるにしても依存性は生じているように思う。
 睡眠剤の長期連用で認知が進むなんてことが巷間伝えられるが、真偽不明、自分が当てはまるのか、自分では分からない。
 懇意にしている年上の心療クリニックの先生に言わせると、睡眠不足で日中のパフォーマンスが落ちるよりは眠剤を飲んでスッキリ眠ったほうがよっぽどいい、長年服用しているけどどうってことはないさ、とのこと。
 この先輩、認知が入っているとは到底思えない。こういう人が近くにいると心強い。

 しかし、きょうは眠かった。
 午後30分くらいシェスタをとったけれども、起きてからむやみに疲労感がのしかかる。
 意を決して無理やり(ホントに無理やり、である)ベッドから離れ、プランクで体幹に刺激を入れ、それからジョギングに出た。
 蒸し暑い。スピードが全く出ない。必然、ウオーク&ジョグとなる。
 なんでこんな思いしてまで走るのか。心中、苦笑いしながら走る。
 10キロ移動するのに1時間半もかかった。


          なほ走る未練がましく盆の暮れ

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        わが睡眠障害については、くりかえし記している。
           2019年6月 2020年1月
          この間、状況は些か変化しているような、いないような ・・・・・ 覚束ない。

 

 

2021/07/11

壺中天

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 ゆうべぼくは女の腹の中にいた。
 吸い込まれたのか。いや、それは最初だけだ。そうだ、なんとなくこの女に飲まれてしまうって予感があったのはあのレストランでだった。 
 確かにあの晩、ぼくは彼女のひと息で吸い込まれ、飲み込まれてしまった。

 きのうに限ったことではない。このごろは自分から入り込む。

 こんな掘立小屋の中にレストランがあるなどとは外見からして到底思えないのだが、ぼくが入ってゆくと女はちょっとだけ妖艶にしなを作ると、たちまちスレンダーな体を古びた壺に変える。

 そのおちょぼ口から、ぼくはすーっと入り込む。

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 初めてのとき、ぼくをひと息に飲み込んでしまったような女だけれど、入り込んでみると腹の中は、黒くはない。黒いどころか、明るく目映いばかりの金銀に輝いているのだ。
      
 この小さな空間で、ぼくは胎児のように膝を抱えて座る。

 座り心地はすこぶるいい、というより、何ものにも触れずに座っている、腹の中にふんわりと無重力状態で浮かんでいるって感じだ。
 そしてなんの感触もないはずなのに、体中に妖しい刺激が緩やかな波動として伝わってくる。

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 周りには幾重もの襞があり、滴が垂れているので手で掬ってみると、なんと、酒じゃないか。
 ひとたび口にすると、喉元に喩えようもない味覚。
 酒ばかりではない。
 襞の間からはぼくが食べたいと思う料理が次から次へと出てくる(食欲を見抜かれている ! )。
 どれもみな、この世ならぬとしか言えぬ味わいだ。

 やがて、全身が  ――  心臓も、脳も  ――  酔いと浮遊感にひたひた浸り、ゆらゆら、ゆらゆら、搖れては揺らぎ、搖らいでは搖れ、・・・・・  気がつくと何やら聞えているのは、あれは、・・・・・  ああ、・・・・・  潮騒だ。

 寄せては返し、返しては寄せ、 ・・・・・ (一定のリズム) ・・・・・  穏やかで、やさしく、・・・・・  そう、子守歌。ぼくが羊水の中で聞いたメロディーだ。なんという快さ、なんと和らいだ心地。

 酒精が全身に滲みわたり、脳髄が恍惚を自覚し、瞬時、腹(壺)の外の世界が網膜に映ずる。
 ぼくが、壺の中と、外を、まったく同時に、蝶のように飛び跳ねている。
 夢を見ているのだろうか。

 ぼくは女に問いかける。
「君はぼくのマザーなのかい?」
「いいえ、わたしはまだ、あなたのマザーではありません。わたしはまだ、生まれていませんもの ・・・・・ 」
生まれていない、だって?
「そう、あなたのファザーだって、まだ生まれていませんもの ・・・・・  」
 父も、母も、まだこの世に生まれていないのに、・・・・・  じゃあ、ぼくは  ・・・・・・・・ ?

 金銀にまばゆく輝く女の腹の中を浮遊しながら、ぼくは同じく、腹の外を飛び跳ね、ゆらゆら、ゆらゆら、揺れている。

 両親が未だ生まれる前のぼくの時間、壺の中と外、夢ともうつつとも見わけのつかない空間、そのあたりを、ぼくは漂っているらしい。

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2021/07/08

ギターふたたび ・・・ 昔取った杵柄?

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 2週間ほど前からギターを引っ張り出して弾いている。弾き語りといえば聞こえはいいが、ホントのカッコいいには程遠い。
 何を思いたってのことか、自分でわからない。もう10年ぶりくらいだろうか。

 弾いてみて ・・・ 指が動かない、というか開かない。5本指を駆使して弦をフレット上にうまく押さえきれない。
 色々とコードを展開させてみるが和音が濁る。特にF(ドファラ)の類。 
 5分も経たぬうち指先が痛くなり続けられない。
 それでもだいぶまともになってはきた(と思う)。
 指先も少しずつ硬くなってはきたが、タコが出来るにはまだかなりかかりそうである。

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 昔、半世紀も前に記した五線譜が残っている。
 これを再現しようとしたが全くうまくゆかぬ。よくこんなに複雑なコードを押さえられたものだと我ながら感心する。

 指も動かぬが、声が出ない。音域がひどく狭くなっている。音程も歌いながら自分でも不確かなのが判る。
 こんなはずじゃなかった、カラオケで喝采を浴びながら(お追従、ヨイショはあったにせよ)、歌っていたあの頃のおれ(最後に行ったのはもう10年以上前だな)、どこへ行ってしまったんだ。 ・・・ どこへも行きゃあしませんて。老いたのでございますよ。
 そう、たしかに老いたな。昔取った杵柄、などと述懐するのも口幅ったいこと。

 懐メロで登場する同世代の歌手を見て痛々しく感じることも多いが、全然老いを感じさせない人も少なからずおられる。
 小田和正さん、さだまさしさん、松崎しげるさん。海外でもポール・マッカートニーはお元気そうだし、エリック・クラプトンもまだまだ行けてる。先日車のラジオを聞いていたら81歳のリンゴ・スターがドラムを叩きながら昔ながらの歌いっぷりを披露しているのにもびっくりした(もともとあまりお上手ではなかったけれど)。

 ―― 何言ってるんだ、かれらはみなプロじゃないか。
 ―― そりゃあそうだけど、ああいう人たちがいると励みになるよ。
 ―― まあ、そうだな。

 高校、大学の頃は人前でやらかして喜んでいた。
 よくやったものだと慚愧・羞恥の念に今更ながら駆られるが、いやもう過ぎたこと、みんな忘れてるさ。
 ・・・ と、気持ち新たに今夜もしばし修練に励む。

 大きな音が出ないようにサウンド・ホールを塞いでやっているが(それに声もあまり出ないし)、とはいえ、ご近所にどれほど聞えていないか、今のところ苦情が持ち込まれていないのは、我慢していなさるのか、呆れておられるのか、もしや触れてはならぬものと恐れおののいていらっしゃるのでは ・・・ そんなことないか ・・・ でも、注意、注意。
 そして目差すは自己満足の世界のみ。いつかギター抱えてひとりカラオケでも行くか。

       




2021/07/06

日々是眠し

 日々早朝覚醒する。就眠時間と関係なしに目覚めてしまう。中高年者に特徴的現象ではあるが、睡眠時間は短くなる、したがって日中眠気を催す。だからほとんど必ず昼食後に短時間仮眠する。10分か15分だったのが最近はどうかすると30分にも及ぶ。
 帰宅後も眠くなることが多い。夕方もまた仮眠する。これも30分に及ぶことが多い。起きるとぐったりと疲労倦怠感に溺れる。
 夜はすぐに眠りに就くことができる(軽い睡眠導入剤の世話になっているとはいえ)。
 要するに1日中眠い。

 それほど肉体を酷使しているわけではない。となれば気持ちの問題か、ということで、わが身に鞭打って(でもないのだが)、意を決して走りに出れば、まあ走れる。
 しかし、スピードが上がらない。1時間も走るとがっくりと足にくる。前はこんなじゃなかった、ならば前とはどれほど前のことだったか、つい2、3か月前のような気もする。

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 天候のせいだろうか。梅雨。―― それもあるか。鬱陶しい。
 コロナ。 ―― 無論あり、だ。(それにオリンピックのこと ―― 考えたくもない)
 年。―― それは大いにもあろう。それが一番の要因ではないか。たしかに。
 受け入れねばならぬのだ。老いを ・・・・ おいおい。

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 相変わらず気分を害する不整脈、期外収縮は月に2、3日は出る。
 この間は起き掛けに違和感を覚え、アップルウォッチを慌てて装着して記録したら数秒間も心拍記録がとれない。要するに心停止だ。寝起きだし、慌てていたから正確に記録できたかどうか定かではないとはいえ、こんなに長く出たのは初めてだから、心中穏やかではない。
 繰り返されるようならペースメーカーの埋め込みが必要になる。

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 ・・・・ などなど考えを巡らせていると、またグダグダと空虚な時が過ぎ、そのうち雨がぱらついてきたりすることがここのところ多い。で、走る。走るというよりはジョグ&ウオーク。無理はしない。心拍数が120をオーバーしない範囲で。
 走行距離:3月185キロ、4月120キロ、5月133キロ、6月155キロ。―― ほどほどに身の程わきまえて ・・・・

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        暴れ梅雨堪へて咲くや蕎麦の花 

 梅雨らしい降り方には遠い。豪雨禍だ。
 実朝は祈った。

       時により過ぐれば民の嘆きなり八大竜王雨やめたまへ


 

 

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