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2021年6月の記事

2021/06/29

水無月詠草

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     紫陽花にひかれ踏み入る去年(こぞ)の道
             ( ・・・ いつか来し道 デジャブなるかや)

     蛙鳴き虚空飲み込む湯浴みかな
             ( ・・・ 山辺の露天唯我独尊)

     酸素引き歩む翁のシャツの汗
             ( ・・・ 後ろ姿の寂寞として)

     スマホより梅雨なき国の孫の声
             ( ・・・ 抱き上げたくも叶はざりけり)

     梅雨晴れや古人の言のしたたかさ
             ( ・・・ 明日をな思ひ煩ひそとて)

     水無月の尽きて過日を嘆きけり
             ( ・・・ 残る半ばも疾く逝くものか)

     Half a year is gone
         leaving me along the lane
             without fruitful memory

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2021/06/26

少年老い易く・・・

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 遠くのブランコで遊んでいたとばかり思っていたら
   その少年は不意にぼくの前に現れた
 少年はぼくを誘うように歩いてゆく

 紫陽花の小径が続く
   かなり先まで続いている
 ぼくはどこまでも 後についてゆく

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 なんだか視界がゆがんで
 進むにつれて 少年のうしろ姿は少しずつ 成長してゆくようにも 見えた

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 道が薄暗い森に入り 樫の大木に突き当たると
  彼はなにやら叫び声を上げた
   と 声は森じゅうを駆け巡り 
    その声に狩り出されるように
      木陰から人が 次から次へと出てきた

 見れば懐かしい顔ぶればかりだ

 小学校の同級生たち ・・・
   タカシ君は駆けっこでいつも一番だった
     ぼくはだからいつも二番だった
   ヒロシ君は学級委員に何回も選ばれたっけ
     ぼくは一度きりだ
   トシコちゃんは初めて手を握った女の子
     フォークダンスでね

   みんなあれからどうしていたんだい?
    (小学生の背丈になった少年は かれらと跳ねまわって遊んでいる)

 中学校の同級生たち ・・・
   ドラムのスティックで休み時間になると机を叩いて回っていたヤスオ君
   番長だったテツオ君 ぼくにはなぜだか優しかった
   初めてラブレターを書いたキヨコちゃん 返事くれたよね

   みんなあれからどうしていたんだい?
    (少年は中学生の背丈になって かれらと 跳ね回って遊んでいる)

 高校の同級生たち ・・・
   ニーチェをうるさく語ったゼンジ君
   バスケ部のモテ男ヒロアキ君
   初めてデートしたノリコちゃん

   みんなあれからどうしていたんだい?
    (少年は高校生の背丈になって かれらと 跳ね回って遊んでいる)

 
 どの顔もやけに くっきり はっきりと見える
  あの頃とおんなじ声 おんなじ仕草
   ずいぶん昔のはずなのに
    今は ホントは どこに どうしているんだろう?

 少年はぼくの姿になって
   ぼくは少年の姿になって
     紫陽花の小径を歩いている


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 大木の向うから 潮騒が聞える

   ・・・  これをくぐれば 海が  ・・・

       ・・・  だから くぐって  ・・・ 

          ・・・ 抜けて  ・・・


               ・・・・・ あああ ここは いつもの公園だ


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2021/06/25

備えあれば憂い・・・?

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        備へれど 憂ひは去らず 梅雨の日々

 

 

2021/06/22

小さなサトリ ?

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 いつものように走り出し 下校途中にすれ違った小学生を目にして
  ぼくは俄然何か判った気がした(小さなサトリ?)

 あれは60年前のぼくの姿だ まったくあんな風だった
 ぼくの眼は少年にくぎ付けになり みるみる少年に引き寄せられ
  少年とひとつに 少年そのものになってしまった

 60年という時間の隔たり感はない
 ぼくがいきなり60年前のぼくにもどり
  60年前のぼくが今のぼくを見ている

 何も変わっていないじゃないか !
 60年経っても全く同じだ !

 ほんの一瞬のことだった
 少年は過ぎていった
 その背中を見ながらぼくは思う

 来し方掘り起こせば 過ごした年月なりの少なからざる出来事を
  思い出すことはできる
 でも 君を見ていると 
  一足飛びにこの齢に達した(達してしまった)という感慨に捉われる
 君が今のぼくの年になったら
  君はぼくと同じように愕然と思い知るのだろう
 一個の人間の生がまるで 一炊の夢のようであることを
 そして(ああ)自然は いのちの歴史は あんなにも広大無辺で無窮なんだ とも ・・・

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2021/06/16

自分の肉のステーキを食べる話

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 森の中の小さなレストランに入り、注文取りに現れた若くてスレンダーな女をひと目見ると、ああ、ぼくはきっと彼女に調理されてしまうのだなあ、と確信した。
「何にいたします?」
と訊かれたので、
「ステーキが食べたい、赤ワインで」
と答えた。
「どの辺りのがよろしいでしょうか?」
と言うので、
「色々、部位があるのかね?」
と尋ねると、
「はい、肩とか背中とか、内臓とか、全身、どこの部分の肉もご用意できます」
 なんだか焼肉屋に来たような気がしたけれど、どうも違う様子だ。ちょっと戸惑っていると、
「おまかせコースはいかがでしょうか? 全身の各部分を少しずつお客様のお好みに合わせてお出しできますが」
「うん、それを頼む。でもわたしの好みがわかるのかね?」
 ぼくは怪訝に思って訊いてみた。
「はい、お客様の全身に漂う気配から判断させて頂きます」
 面白そうだと、ぼくは頷き、
「ホントに判るのかい?」
「たとえばお客様、今私を食べたいと思いませんでしたか?」
 ぼくは思わず赤面した。読まれている  ・・・・・・・

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 ほどなく女がグラスの赤ワインとともに、旨そうな匂いのする料理を運んできた。
「頬肉をレアに仕上げたものでございます」
 食べるとなんとも懷かしい味である。どこかで食べた記憶がある。
「旨い・・・」
 頬っぺたが落ちそうだと思っていると、
「お客様の頬肉を夕陽を浴びせながら3時間寝かせたものでございます」
 ぼくはなるほどと思って一気に食べた。懐かしさに涙がうるむ。

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「次は胃を月光に溶いてとろとろと弱火であぶりながら仕上げたものでありまして、長年にわたって蓄積されたイタミが中までほどよく溶け込んでおります」
 口へ運ぶと飲み込みが早い。はらわたまで沁みとおる。積年の恨みが氷解し実に穏やかな気分になる。

 それにこの赤ワインの芳醇さ。
「お客様の赤血球をリンパ液とともにブレンドし、5年寝かせたものでございます。少し澱が目立ちますがそれがこちらの特徴かと・・・」

 女はぼくの気持ちを見拔くかのように説明し、それから次々に料理を運んできた。しかも来るたびに、手や顔がぼくにだんだん近づいてくる(なんといい香りだ)。

「これはお客様の肺に星の砂をまぶしながら、ケガレを濾過し、食べやすくしたものでございます」
 なるほど、この説明はぼくの肺腑に落ちた。

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 料理は続く ――

(脳)「好き嫌いはおありかと思われますが、いえ、性格ではございません、それなりにそれなりでございまして・・・」(愛嬌&嬌態)
(心臓)「お口の中にしばらく含まれますと、小心でガラスのように割れやすく儚いおいしさにドッキリとして、動悸を自覚されることがあるかもしれません・・・」(上品な媚態)

 女の解説によれば、食べたもの、飲んだものは直ちにもとの部位に運ばれるという。
 そうか、すべて無駄なく、血となり肉となり ・・・・・・

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 ぼくはなんだか奇妙な気分になっていった。
 自分を食べている自分がいる。食べられている自分がいる。それを見ている自分がいる。
 いったいどれが本物のぼくなのかしら。

 食べたものはどれも旨い。旨いと感じているぼくの感覚はどこから生まれるのだろう?
 調理に供された部位は嚥下、消化され、もとの場所、本然の姿に還る。

 うむ、この肉は ・・・・・・ どこの部分か訊き損ねたが、ナイフで小さく切り、フォークの先に突き刺すと目の高さに掲げ、フォークごとそれを放り上げた。
 肉塊は砕けて金銀の微粒子となって空中に舞い上がったが、すぐに女が現れ、大きく胸を張るとそれらをみんな一息に吸い込んでしまい、そうして肉ばかりではない、次に気がついたときぼくは女の腹の中にいた。

 

 

 

2021/06/15

西に向かって走れ

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 この数日、なんとはなしに疲労感、熟睡感の欠如が拭えない。
 今日は午前中で仕事は終わりだったが、帰宅後午睡を少々。本を読みながら椅子にもたれてまたウトウト。
 これではいかんと筋トレをし、プランクをし、スクワットをし、少し頭がスッキリしたところでジョギングに出たら、途中から小雨が降り始めた。

 走るに従ってだんだん勢いを増してくる。頭上は暗雲低く垂れこめ、時おり雷が鳴ったが、西の方角を見ると明るい。コースを変更し西を目指して走ると、ほどなく舗道に降雨のあとは見られなくなった。

 帰宅後2階に上がる途中できょうも、数秒だったが2段脈が出現。短時間といえど気分不快である。

 ここのところ左前胸部を中心に不安定ななにかが蟠っている気配を感じることが多い。大概は気配(あるいは予感)だけで終わるのだが、ときに不整脈が現実に姿を現す。
 さてその原因、誘因を考えてみるに、睡眠不足なのか、酒量が過ぎるのか、はたまた走り過ぎなのか、どうも判然としない。
 で、年齢って奴が消去法的にどんと居座る。つまるところ、加齢に伴う心臓の刺激伝導系の異常、ということか。嫌な奴だが、馴れ合っていかねばならないのかもしれぬ。

 西に向かって、夕陽に向かって、走れ。走るんだ。

          梅雨空に雷鳴犬を走らせる

    

2021/06/14

不整脈と 梅雨入りと

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 きのうは久々に期外収縮が1時間ほど出没を繰り返した。心室性期外収縮の2段脈で、正常心拍と余計な心拍が交互に出現する。
 波形で〇と★が交互に現れ、3段目で正常に戻っている。規則正しくキレイに出ていると言えば言えるが、気分は実に不快である。

 〇で示す心室収縮によって血液が全身に送り出され、これが脈として認識されるわけだが、〇と〇の間に入る余計な収縮★は心臓から血液を拍出せず内部に滞留させる。血液は次の〇の心室収縮でいっしょくたに心臓から送りだされるので、そのボリューム(1回拍出量)は〇だけが連続する場合より何割か多くなる。これがウッとくる動悸の自覚。

 山荘の古くなった外壁の補修の間中、この余計な収縮活動が出没を繰り返した。やはり「ココロは心臓に鎮座する」とあらためて思った次第である。
 
 きのうの今日、2階の階段を昇ったところで2、3発を自覚し、一瞬の気鬱。
 (AppleWatchで即座に不整脈の正体を確認できるのはありがたい、とはいえ)

 空梅雨だ、などと言っていたらきょうが梅雨入りらしい。

      脈が飛び意気消沈し梅雨に入る

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2021/06/11

眠りの先

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a; 夜だ

b; 眠りに着こう 目を閉じて

a; 瞼の裏の闇に 眠りの入口が開いて 待っている

b; ああ ウオータースライダーのような曲がりくねった細いトンネルが

a; そうだ 水が流れて

b; 眠りへ誘っている

a, 明日も 目覚めるだろうか?

b; たぶん 覚めるのだろう

a; そこで 生が きのうからきょうへ繋がったと 確認するわけで

b; それは当然のこと

a; そうでなかったら ずっと覚めなければ

b; それは 死というもの

a; 眠り続けるだけのこと ではないのか?

b; それは あり得ること かもしれぬ

a; だが それを知ること 自覚することは できない

b; 人間とは そういうものだ

a; 眠気がさしてきた もうすぐ 眠りの闇に落ちるのだろう

b; 真っ暗がりのなか 細いトンネルを 滑り落ちてゆくだろう

a; 毎晩のこと

b; そうだ 眠ろう

a; 永遠の眠りにつく瞬間てのも こういうものなんだろうか?

b; 真っ暗なトンネルに滑り込み 闇の中を落下してゆく予感

a; その先は

b; わからぬ

a; 暗闇の先に なにかが

b; わからぬ あるのか ないのか

a; 恐ろしい

b; しかし それは万人に不可避 平等に起こること

a; そのときを想像する

b; トンネルの滑り台の入り口にすわり いや すわらされ

a; 否応なく滑り落ちてゆく

b; そうだ 例外は ない

a; まだ もう少し 先延ばしに

b; だめだ あとがつかえている 早く 滑り落ちろ

a; 待ってくれ ああ 押すな

b; おれは押してなど いない こういうものなのだ

a; 眠りが 寄せてくる

b; そうだ 眠りだ

a; トンネルの 暗がりが

b; ああ 眠るの底へ 滑り落ちてゆくのだ

a; 曲がりくねった ウオータースライダーのような

b; トンネル からだひとつ分のチューブのなかを

a; ああ 滑り落ちる

b; そのまま 行け

a; 夢見できるだろうか

b; わからぬ われわれが推測できることでは ない

a; 永遠の夢見を

b; わからぬ奴だ

a; 眠気が

b; そのまま 身を任せよ

a; そうだな それしか

b; 闇の底に向かって

a; 流れ 滑り 落ちて

b; ゆく 

a; 先の事は

b; わからぬ

a; 考えて

b; 無駄なこと

a; 眠りが

b; そうだな

a; 明日は

b; わからぬ

a; そうか ・・・・・・・・

b; そうだ

a; そうだな ・・・・・・・・

b; ああ ・・・

 

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2021/06/09

空梅雨

 連日の真夏日、このまま本格的な夏に移行しそうな気配だ。
 この調子だとそのうち、「〇月〇日ごろ梅雨明けしたようです」、なんて気象庁が発表するのかもしれない。

 夕方は涼風で多少は救われたとはいえ、マスク着用でのジョギングは鬱陶しいばかりではない、息苦しい。
 しかし、行き交うランナーたちはほとんどがマスクをしたままだ。大したものである。

 さて、この我が身、きのうの転倒の後遺症が明らかでないのは吉、としよう。

         空梅雨にけふも吐息の湯あみかな

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2021/06/08

転倒 ふたたび

 夕方ジョギング中、転倒した。
 足がもつれたのか、前のめりになり、地球が急接近してきたので、咄嗟に受け身(意識してやった、それだけの余裕があった、つまりそれほどスピードは出ていなかったということか)、右肩・右上肢からゴロンと(音がしたかどうか記憶にない)、受け身態勢で転がった(たぶん高校の柔道の授業以来!)。
 学校脇の土の歩道だったことも幸いしたか、さしたる痛みは感じず、すぐに起きあがると、かなり付着していた土ぼこりを払いながら(見られたら恥ずかしいという気持ちが作動していたようだ)続きの走りで帰還。

 前回は両手、両膝に結構な痛手を蒙ったがきょうはさほどではない。
 右肱、右膝に少々擦過傷、大事はなさそうである。明日になってみないと本当のところは分からないが。

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 なぜ転んだのか?
 段差はなかった(と思う)、地面は平坦だった(確かに)、後半から右のシューズの紐通しの穴が皮膚に当たって甲の内側に痛みが続いていた(時々立ち止って紐を緩めるほど)、11キロほど走り疲労気味だった(いつもではあるが)、今年初の真夏日だった(湿度高し)、 ・・・・・・・・ よく判らない。

 今月はきょうで53キロ走った。
 5月は133キロ、4月は120キロ、3月185キロ、2月225キロ、1月283キロ。
 年初から走り過ぎていたので、無理はしない、ほどほどに、と心得ながら走って来たのだけれども、さらに自省が必要なのかもしれない。

 

 

2021/06/06

紫陽花 幻想

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   夕暮れの 涼しげな 吐息ながれ
    みどりほのかに 漂ふ
     こまやかな 葉揺らぎのなか 紫陽花 咲く

   雲間を あふれくる 光乱れ
    日に色 移り うつらふ
     秘めやかな ためいきを添へ 紫陽花 匂ふ

   葉づら打つ 雨粒の おどりしげく
    紫淡く 消えゆく
     まろやかな 降る雪に似て 紫陽花 散る


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2021/06/05

窟屋

   長いトンネルを抜けた
   この小径の先に窟屋があるという

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    石ころだらけの下りが延々と続く

    谷へ降りているらしい

    せせらぎが聞こえてきた

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    道端には夥しい数の石佛がどれも独鈷を抱いて鎮座している
      (みな 同じ姿!)

    かれらは無言で語る

       六根清浄 六根清浄 ・・・

      ? ・・・ 曼荼羅世界に引き込まれているのだろうか?
      いや もう入り込んでいるんじゃないのかしら
       あのトンネルを抜け出たときから ・・・

 
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    石佛たちは進むにつれてだんだん大きくなり
      ついに巨岩とひとつになってしまった

    いきどまりと思ったその岩の真ん中に抜け道があって
      それをくぐると窟屋があった

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    上の方から雫が細い滝となって落下している

    薄暗い窟屋にはたくさんの石佛が
     表情もなく
      勝手なやり方で 座を占めている

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    天井を掠めて黒い鳥が飛び出してきたので
     ぼくは咄嗟に身を引いた

  ―― 昔ここに乱を逃れて平将門が隠れたという言い伝えがあります ・・・

    ぼくはあの黒い鳥は将門の首に違いないという気がして
      恐ろしくなり引き返した


    同じ道
    今度は長い上りか
    暗澹とした気分でぼくは踏み出す

    おかしい !
    道は下っている !
    どんどん下る

    せせらぎが聞こえてきた(また?)
    独鈷をかき抱いた石佛たちの姿が次第に小さくなってゆく
 
    さらに下り ・・・

    谷底で道が終わっている
    向う岸へ渡らねば (まさか三途の川ではあるまい)

    ぼくは思い切って小さな(見えない)渓流を跳び越す

  ―― ずいぶん長いこと宙を飛んでいたらしい ――

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    着地したぼくの前にはさっき出てきたトンネルが口を開き
      そこに向かってたくさんの墓標がならんでいる

    そのどれもに 見覚えのある懷かしい面影がうっすら浮き彫りになり
     トンネルのむこうからは 聞き覚えのある楽の音 ・・・ いや 波だ

       ゆるやかに 寄せては 返し また寄せる おだやかで やさしい 潮騒 ・・・・・

    ああ あれは羊水のなかで聞いた子守歌  ――  間違いない !

    ・・・  ひょっとして ぼくはまだ 生まれていないのかも しれない



 

2021/06/04

ワクチン ・・・ まつり

  Vaccin

 大多数の人々は堪えている
   多数の人々は反対している

 ごく少数のまつりごとのプロたちは右左にわかれても
   テーブルの下 阿吽の呼吸で手を握り合う

 ワクチンはかれらに一過性の安心を与え
   大多数の人々は一過性の安全を得る

 問題はそのあと 祭りのあと

 あとの祭りになっても
   どんなあとの祭りになっても
  かれらはほくそ笑むことを たぶん やめない


2021/06/03

五輪

 Gorin

    赤 ・・・ 太陽
    黄 ・・・ 大地
    緑 ・・・ 草木
    青 ・・・ 海
    黒 ・・・ 無

 世界は形ばかりでつながっている
 みんな各々の輪の中 
 境界の内側に閉じこもり 分断しあっている

 違う!
 繋がることではない
 溶け合うこと
 それぞれの色合いをところどころに意志表示しながら

 太陽系はすでにそうなっているじゃないか
 10万光年のかなた
 冷えた情熱と
 灼熱を思おう

 

 

2021/06/02

ケータイを不携帯

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 もうスマホがないと生活に大いに支障を来す、そんな時代になってしまっているようだ。
 身体を離れたらアラームが鳴るようにできないものかと思う。
 ケータイ・ケースの中にPASMOと高齢者割引のチケットと運転免許が入っている(それに千円札1枚)。
 車で出かけるときは言わずもがなの必携アイテムである。それを忘れる。
 これで4回目だ。

 1回目;途中で気がつき引き返した(チョット免許不携帯運転)。
 2回目;出がけに妻が気がついて車を呼び止めた。
 3回目;病院から帰るとき診察室に忘れたのを担当の看護師さんが気づき駐車場まで走って屆けてくれた。
 4回目(今回);全く気付かず家を出て、仕事の途中でメールを確認しようとして ・・・ つまり本日は ・・・
          これ以上詳記するとヤバイ、guilty ! ・・・(気配を消して帰宅した)・・・

 息子は免許の返納を主張する。
 待ってくれ、今回限りだ。
 明日からは運転免許証を車に置いておくことにする。

 エンジンをかけると「ETCカードが挿入されています」とアナウンスが入る。
 きちんと刺さっていないと「ETCカードが挿入されていません」となる。
 同様に「ケータイが携帯されていません」というアナウンスがほしいものだ。


 夕方ジョギングした。
 江古田の森、哲学堂からあたり、3つの区をまたいで。
 あちこちに様々な種類の紫陽花が咲いている。

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         息ついで 紫陽花愛でる 夕べかな


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 哲学堂では東西の哲人たちが無言で語り合っている。

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       哲人の 集ひいに 己(おの)が影投げて もの思へども 言の葉は出でず

 さてオリンピック、どうなることやら ・・・・・・・・

 




 

2021/06/01

雷神 & 風神

 Raijin Fuujin


 灯りを消し 瞑目すると瞼の裏の闇が一瞬 白くなった
 たちまち雷鳴のとどろき

「うるさいじゃないか」

 ぼくは抗議する

「うるせえ!」

 寝室の闇に閃光が走り 巨大なふたつの眼がぼくを睨む

「眠りの邪魔をするな」
「しゃらくせえ」

 雷神は担いだ太鼓を乱打しながらぼくに掴みかかる

「フザケルナ」

 げんこつを突き出すと奴の顎に命中し
 奴は他愛もなく壁際まですっ飛んだ

 
 窓ガラスを猛烈な雨が打ち破り
 突風が鋭利な刃物となって吹きこむ

 ぼくはのけぞる
 腹のつき出た風神がぼくに向かって背負った大きな風袋の口を開いている

「卑怯だぞ、2対1で」
「ふん、糞喰らえ!」

 雷光と烈風が 闇をいくつもの空間に分断しながら
 巨大な化け物アメーバとなって ぼくに衝突してくる

   あぶない!

 感電! 震撼! 全身(そして全霊)の痺れ 疼痛!
 
 ぼくは烈しい攻撃を堪えて立ち 微塵だに揺るがない

   なんて雄々しいんだ!

 ぼくは自己陶酔に垂涎する

 やがて ・・・

 暁光のなか ぼくは失禁に気付く

 奴らの哄笑が遠のいてゆく ・・・

  






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