« 秋篠寺の思い出 続き | トップページ | 好事魔多し? »

2021/01/24

伽藍なら唐招提寺

 連日回想の古寺巡り、今日は唐招提寺。
 一番お気に入りの佛像は秋篠寺の伎藝天と述べたが、伽藍なら何といっても唐招提寺。
 帝の命を受けた遣唐使の懇願により、日本に佛教の戒律を伝えるため、苦難の船旅の末来朝した鑑眞が晩年を過ごした寺である。

        Simg_4785

 南大門を入ると真正面に、天平の甍も高く鴟尾を戴いて寄棟造の金堂が鎮座し、背後には入母屋造の講堂、金堂と講堂間の東西には小さな二階建ての鼓楼と鐘楼が、講堂の東には細長い東室と礼堂、さらに校倉造の経蔵、宝蔵などが配置されて建つ。
 伽藍には天平と鎌倉、ふたつの時代様式が保存されている。
 金堂の吹き放しとなった正面には八本の、エンタシス様式と呼ばれ、その原型は古代ギリシャ神殿に遡るとされる太く円い柱が屋根を支えて並び建つ。

   
        Img_1455   

   おほてらの まろきはしらの つきかげを つちにふみつつ ものをこそ おもへ
 
 大寺の丸い柱が落とす月影を踏みながら思索を重ねて歩みゆく。
 秋艸道人会津八一の一首、境内でどれほどくりかえし口ずさんできたことだろう。

        Simg_1438

 この伽藍の魅力は何といっても建物の配置の妙だ。
 寺域をあてどもなく逍遥すると、網膜の上を過ぎる御堂は時々刻々、佇まいを変え、互いに前後に重なり合うさまは微妙に移ろいゆく。それは建物の大小、奥行きや配置具合といったものがもたらす遠近法の精妙さ、華麗な巧みの技とでも言うべきか。

        Simg_4794   

 そして並べられた棟、軒、庇、塀や樹木、苔むす庭、玉砂利といった伽藍のひとつひとつに当然ながら陰翳が寄り添っているさまは、陰陽が織りなす小宇宙である。

        Simg_4822  


 ここは歩きながら視界を動的に楽しむお寺だ。亀井勝一郎は「大和古寺風物誌」の中で「伽藍の交響楽」と表現したが、言い得て実に妙である。

        Simg_1444

 

 

« 秋篠寺の思い出 続き | トップページ | 好事魔多し? »

古寺巡礼」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 秋篠寺の思い出 続き | トップページ | 好事魔多し? »